待宵(まつよい)

仲秋・天文/旧暦8月14日の夜、またはその月のこと。十五夜を翌日に控えた格別の趣をさす。望月に満たないので小望月ともいう。


待宵やひとの赤子のうすまぶた  星野麥丘人


大きな瞳がよく動く赤ちゃん。眠っていても、ぷっくりとしたまぶたが愛らしい。

月明かりはそのうすいまぶたを通りぬけて、赤ちゃんの夢をやさしく、しずかに照らしているよう。

ああ、この子がわたしのほんとうの子であったなら。

月は刻々と動いていくけれど、いつまでも夢からさめずに、このままでいてほしい。


星野麥丘人(ほしのばくきゅうじん)1925-2013年。東京生まれの俳人。石田波郷石塚友二に師事。「鶴」主宰。




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