十七音のとびらを開けば、いつだって、ここではないどこかへ旅立てる。 今日のとびらの向こうには、どんな風景・人との出会いが待っているのだろう。
三夏・地理/草が青々と生い茂り、草いきれでむせかえるような野原。
腰まで覆い隠すような草原に分け入って遊んでいるうち、知らぬ間に腕や足に切り傷ができて血が出ていたなんて経験はだれにでもあるだろう。
「舐めて」で血の味やにおい、生あたたかさが、「脈打つ」でその痛みがストレートに伝わってくる。
夏草の濃いみどりと血のあざやかな赤。むし暑い風にさわぐ葉擦れの音。
自分の身体におさまりきらない生の躍動に、少年はしばし立ち止まる。大きな夏野の一点となって。
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