蛍籠(ほたるかご)

仲夏・人事/竹や木などの枠に目のあらい布や細かな金属の網を張った籠で、蛍を入れて愛でるもの。軒先や庭木につるして楽しむ。


蛍籠昏ければ揺りえたたす  橋本多佳子


籠のなかの蛍が揺さぶられると本当に光るのかどうかは知らない。

知らないが、「炎えたたす」とは尋常じゃない。

昏いのは己の心か。

見失いかけている自分の心を揺さぶっているのでなければ、その措辞は眼前の蛍の光に対してあまりにも烈しすぎるようだ。


橋本多佳子(はしもとたかこ)1899-1963年。東京生まれの俳人。山口誓子に師事。「七曜」を創刊・主宰。中村汀女、星野立子三橋鷹女らと同時代に活躍した。




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