木苺(きいちご)

初夏・植物/バラ科の落葉低木。山野に自生。晩春、白い花が咲く。初夏、たわわになる黄金色や暗紅色の粒状の実は食用。


書庫までの小径木苺熟れてゐる  山口青邨


若葉が陽をさえぎって、すこし湿り気のある小径を歩く。研究室にこもっていたからいい運動だ。

みずみずしい酸素濃度の濃い空気に全身が洗われるようだ。

途中、見つけた木苺を思わず摘んで口にしてみる。天然のやさしい甘酸っぱさに、くたびれた脳がよろこんでいる。

論文を仕上げるのにどうしても必要な資料。たしか書庫にあるはずだ。

お目当ての資料をさがし出すことへの期待を胸に、歩みは知らずと速まっている。


山口青邨(やまぐちせいそん)1892-1988年。岩手県生まれの俳人・鉱山学者。高浜虚子に師事。「夏草」を創刊・主宰。





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