天道虫(てんとうむし)

三夏・動物/ちいさな半球形で背中に斑点がある虫。赤や黒、黄など色はさまざま。よくみられる7つの黒い斑点のあるナナホシテントウはアブラムシを食べる益虫。


のぼりゆく草ほそりゆくてんと虫  中村草田男


まだ原っぱが身近にあった時代。放課後、いろんな虫を捕まえたり、観察したり。

いくら時間があっても足りない気がした。

天道虫はさわると臭いので好きではなかったけれど、草の先端へのぼりつめたやつが翅をパカッとひらいて飛び立つさまを見るのは楽しかった。

この句は飛ぶとはいっていないのに、それがはっきり脳内で映像化されてしまう。

飛ぶぞ、いまにきっと飛ぶぞと逸る気持ちまでわいてくる。

虫に親しむことの少なくなった近頃の子供なら、この句をどんなふうに読むのだろう。


中村草田男(なかむらくさたお)1901-1983年。中国福建省生まれの俳人・成蹊大学教授。高浜虚子に師事。「萬緑」を創刊・主宰。



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