仲夏・時候/夏至前後、北極または南極付近で、夜になっても散乱する太陽光のために薄明が長時間つづく現象。
街白夜王宮は死のごとく白 橋本鶏二
かつてイングランドの田舎町で過ごした夏、パブで飲んだ帰り、もう11時近いのに自転車で走る牧草地の西の空が明るくて奇妙だった。
昼はたしかに去ったものの、夜になりきれないままの不思議な時間。
短い夏をすこしでも満喫しようと遅くまで出歩いていた人々も、さすがにもう眠りについたか。
この世とあの世のあわいにあるような静まりかえった街に、妖しく白くぼんやりと浮かぶ王宮。
人は死してもどこかに痕跡を残すように、その白は闇に沈みきることはなくて、やがてまた朝の陽に堂々たる姿をあらわすことだろう。
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