夏初め(なつはじめ)

初夏・時候/立夏をすぎた5月。新緑のうつくしい、すがすがしい時季。


江戸絵図の堀の藍色夏はじめ  木内彰志


水の都だった江戸。当時の絵図で目をひくのは、町を区切るように縦横にのびる堀や運河のあざやかな藍色だ。

絵図片手に、現在の街並みと比較しながらの散策。

東京のいまの堀を藍色と表現することはとてもできないが、絵図の藍色を指でなぞりながら往時の面影をさがし歩くのはいかにも楽しげだ。

堀端の並木の葉のそよぎ、水面のはじく陽のひかり、汗ばんだ肌をなぜる風。

目を閉じれば、江戸の夏の入り口に立っている。


木内彰志(きうちしょうし)1935-2006年。千葉県生まれの俳人。秋元不死男に師事。「海原」創刊・主宰。



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