葉桜(はざくら)

初夏・植物/花が散り若葉となったころの桜。陽光をあびた葉桜はことにうつくしい。


葉桜の中の無数の空さわぐ  篠原梵


これまでさまざまな場所で葉桜を目にしてきたであろうが、この句から思い出されるのは新学期の学校。

親しかった友とクラスが分かれ、さびしく不安な気持ちと、新しいクラスにすこしずつなれ、気の合いそうな奴を見つけられたことへの安堵。あえて声をかけるわけではないけれど、存在の気になる奴もいたりして。

新しい担任との相性はまだつかみきれず、すっかり落ち着いたとはいえない胸のざわつく日々。

風に揺れる葉桜を見上げる私の心のどこかでも、きっと「無数の空」がさわいでいたんだろう。


篠原梵(しのはらぼん)1910-1975年。愛媛県生まれの編集者・俳人。臼田亜浪に師事。


 

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