枝豆(えだまめ)

三秋・人事/まだ熟しきっていない青い大豆を茎ごと収穫したもの。さやのまま塩ゆでして豆を食べる。ビールのつまみの定番。十五夜に供えるので月見豆ともいう。


枝豆を真青に茹でて一人とは  梶山千鶴子


最初、「一人」を独身という意味にとって、仕事に明け暮れるビール党の女性の自嘲気味の句と思ったのだけれど、月見豆という枝豆の別の顔を知るや、ちがった場面が浮かんできた。

去年までは夫と二人、月見をしながらビールを酌み交わし、テーブルには茹でたての枝豆があった。それが、今年はその相手がいないのだ。

月のようにかがやくビールの琥珀色、生命力あふれる枝豆の青々しさ。

一人しずかにさやをぷちぷち押しつぶして口にする枝豆は、しょっぱさと甘さがほどよくてこんなにもおいしいのに、一人には多すぎるよ。


梶山千鶴子(かじやまちずこ)1925-2013年。京都府生まれの俳人。多田裕計に師事。「きりん」を創刊・主宰。 




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