仲春・人事/ゆでた蓬の葉を餅につき込んでつくる。きな粉をまぶしたり、餡を包んだりして食べる。
人当たり柔らかく生き蓬餅 岩城久治
地位も名誉も富もない。ただ人には常にやさしく接してきたつもりだ。この蓬餅みたいに地味な人生だけれど、なにも恥じ入ることはない。
すぐにだれかを批判したり、攻撃的になったりする人だって、こうやって土手にすわって春の川や雲などながめながら、お茶を片手に蓬餅を食べてみたらいい。
清々しい蓬のかおりに心も体も解きほぐされていくよ。
岩城久治(いわきひさじ)1940年、京都府生まれの俳人。水原秋櫻子に師事。
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