三春・天文/春の日光またはのどかで暖かい春の一日(時候)をさす。
春の日の朱をべつたりと中華街 原裕
「べつたりと」がいい。門でも看板でも、中華街を一色であらわすとしたら朱。春の陽ざしをあびて、その朱がいっそう色濃くべったりとしてまぶしい。なんだか食欲がわいてくる。
どこの店で何を食べようか。暖かくやさしい風の吹くなかをおしゃべりしながら、こっちの路地からあっちの路地へ。
私にとっての中華街は横浜で、山下公園のにぎわいやそれに交じる汽笛、芽吹きはじめた街路樹の若々しいにおいまでがよみがえる。
久しく足を運んでいないけれど、この句の楽しさを存分に味わえる春の日が今年の中華街にはたくさんやってきますように。
原裕(はらゆたか)1930-1999年。茨城県生まれの俳人。原石鼎に師事。「鹿火屋」主宰。
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