一月(いちがつ)

 晩冬・時候/一年の最初の月。寒さが最もきびしくなる。

 

赤き実を咥へ一月の鳥日和  阿部みどり女

 

南天の実と鵯。ピーヨピーヨと、鋭い声が耳に痛い。

冬の弱々しい西日のさす庭を、窓越しにそっとのぞいていた幼きころを思い出す。

母は買い物で留守番だったか。

美しい赤い実に欲しいだけ食いつく野生の生命に、ささやかな興奮をおぼえて。

 

阿部みどり女あべみどりじょ)1886-1980年。北海道生まれの俳人。高浜虚子に師事。「駒草」を創刊・主宰。

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